昆虫採集【北海道編】
甲虫目 クワガタ
昆虫採集の対象となる虫の代表格といえば、やっぱりカブトムシやクワガタではないでしょうか
学校の課題での自由研究や商売、趣味でカブクワを捕ったり、『ボクの夏休み』的に昔を懐かしんで捕ったりする方もいらっしゃるのでは?
北海道には元々カブトムシはいない(国内外来種)ので、このブログでは扱いません
最近では、クワガタはホームセンターやインターネットで気軽に買うことができるので、わざわざ採集しに行く必要もないのかもしれませんが、この小さな命がどのように生きているのか本来の在り方を見てみるのもいかがでしょうか
クワガタの種類によって生態が違うので、捕り方や飼育方法もそれぞれ違います
北海道にクワガタは11種類生息していますので、このブログで採集方法・飼育方法を種類別に随時アップしていこうと思います
とくにメスのクワガタは『種類の違いがわからない』なんてことが多いかと思いますので、そのへんも詳しく解説できればと思っています
北海道の都市伝説的採集方法
まず、『クヌギの木にクワガタが集まる』という人がいますが、ハッキリ言ってそういう人は勉強不足です
北海道にクヌギは自生していません
また、『ストッキングにバナナを焼酎やビールに漬けたものを入れておくと、クワガタが集まる』と言う人もいますが、ハッキリ言ってこういう人は素人です
これは本州以南での採集方法です
気温の上がらない北海道ではこのトラップは効果が上がらず、せいぜいザトウムシやモリミズウマ、ワラジムシ、アリが付いているのが関の山です
さらにこのトラップを回収せずにほったらかしにしていく人も多い
発酵したバナナなどを放置するとヒグマを誘引してしまう恐れもあるので、こんな効果のないトラップは北海道ではやめましょう!
昆虫ゼリーを木に置いていく人も多いですが、ハッキリ言って謎です
これはトラップのつもりですか?
ただのゴミ不法投棄です
木に蜜だか砂糖水だかしらないけど、塗っちゃってクワガタを待ってるヤバイ人もいます
贅沢な時間の使い方ですね?
樹液を出そうと刃物などで木を傷つける最低な人間もいます
生き物に対しての慈しみの心がないのであれば、昆虫採集などするべきではありませんね
そもそも樹液は発酵していなければ、虫が寄ってくることはありません
北海道のクワガタ採集方法
前述したように、クワガタの種類によって採集方法も違うのですが、だいたい共通して言えることは、
北海道でクワガタの集まる木は、ミズナラ・ハルニレが二大巨塔で、他にバッコヤナギ・ダケカンバ・ブナなどが挙げられます
地域にもよりますが、採集時期は6月上旬~9月下旬までです
主なクワガタの発生順は、
スジ➡️ミヤマ♂➡️ヒメオオ➡️コクワ➡️アカアシ➡️ノコ➡️オオクワ➡️オニ➡️ヒメオオ
大体こんな感じでしょうか
気温と湿度が高く、風がない新月の夜が一番ベストな採集日です
風があると、昆虫は飛ばなくなりますし、寒いと活動自体が低下します
また、灯火採集では月明かりのない方が、街灯に集まる虫が多くなります
小雨くらいなら採集に影響はありません
ルッキング採集:肉眼もしくは双眼鏡などで、木に留まっているクワガタを探す方法
昼間に行う採集方法で、夜行性ではないヒメオオや走光性がないスジクワ・オニクワなどで有効です
また、昼間のうちに、『御神木』『樹液酒場』と言われるようなクワガタが集まる木を探しておいて、夜に採集に訪れる方法もあります
灯火採集:街灯などに集まるクワガタを採集する方法
北海道では一番ポピュラーで、なおかつ一番成果が上がる採集方法です
ただし、LEDの明かりには集まりづらいので、水銀灯などの明かりの下を捜すといいでしょう
ガなどが集まっている街灯や自動販売機などは、クワガタもいる可能性があります
材割り採集:成虫の採集時期以外に、産卵したと思われる材から幼虫や蛹を採集する方法
産卵痕や朽ち木の種類、白色腐朽菌・赤色腐朽菌、幼虫の食痕などからクワガタの種類を判別し、採集するため多少の知識とスキルが必要となる
ピットフォールトラップ:木の根元などの地面に穴を掘り、紙コップに希釈した酢などを入れ、掘った穴に設置するトラップ
オサムシなど主に地面を歩くタイプの昆虫に有効で、スジクワなどが捕獲できる
設置する場合は、ヒグマの誘引に注意してください
ライトトラップ:灯火採集と同じ効果を狙ったトラップ
光を白い布に当て、そこに飛んでくる虫を捕獲します
また、森に光を照射して、クワガタを誘引する方法もあります
発電機や安定器、水銀灯などを購入する必要があるため、かなり高コスト
車のインバータやライトを用いる方法もあるが、効果は薄い
採集共通事項:
クワガタを捕る場合は、森の深くに入る必要はなく、むしろ林道や道路に接しているような森や林のふちを狙ってください
森深くに入れば、たくさんいると思っている人も多いかもしれませんが、逆です
林道や川や道伝いに雨や風が通り、木を傷つけるため樹液が出ている場合が多く、日の光を浴びやすいので樹液が発酵している場所が点在しているはずです
これを狙います
北海道のクワガタ
オオクワガタ
ヒメオオクワガタ
アカアシクワガタ
スジクワガタ
ミヤマクワガタ(エゾ型が多い)
オニクワガタ
ツヤハダクワガタ
マダラクワガタ
マグソクワガタ
全11種類
ルリクワガタについては道南やニセコ近辺で産卵痕の(・)マークがあったとの報告があるが、北海道では未記載種としています
また、ヒラタクワガタなどの南方系のクワガタも北海道には生息していません
クワガタ飼育方法
【寿命】
まず、クワガタには単年で寿命を全うする種類と、2~3年の寿命がある種類がいます
上記のオオクワガタ~スジクワガタまでがドルクス属に分類され、自然界で2~3年、飼育下で3~4年生きる個体もあります
上記ミヤマクワガタ以下6種類とカブトムシはその年に寿命を迎えます
オスは交尾後に、メスは産卵後に死亡するので、昆虫採集のピークである「子供の夏休み期間中」にオスが少なくメスばかり獲れるのはこのためです
【交尾・産卵】
自然界から採集してきたクワガタを無理にペアリングさせ、交尾させなくても大丈夫です
ほとんどの場合、採集してきたメスのクワガタはすでに交尾済みですので、虫カゴに昆虫マットと産卵木を入れておけば勝手に産卵しますよ
狭い虫カゴにオスと一緒にしたり、メスのクワガタを多頭飼育していると、メスのクワガタは産卵後の栄養補給のために、他のクワガタの足を噛み切り、そこから出る体液を舐め、終いには殺してしまう場合がほとんどですので、産卵後すぐにメスは単頭で飼育してください
足を全てもがれたダルマ状態のクワガタがよく見られるのは、このメスクワガタの猟奇的な(?)栄養補給方法のせいです
また、産卵後には自身で産んだ卵や幼虫も栄養補給の対象としてしまったり、産卵スペースを破壊してしまったりするため、ブリードするには、産卵後のメスクワガタは産卵した虫カゴとは別のケースでの単頭飼育が必要です
【エサ】
昆虫ゼリーを使用してください
スイカやメロンの皮のイメージがある人もいるでしょうけど、水分が多すぎてダメです
また、昆虫マットを汚す原因にもなりますので、昆虫ゼリーが最適です
プロ仕様のプロテイン配合の昆虫ゼリーまでは必要ありませんよ
ただ、小さい種類のクワガタは昆虫ゼリーで溺れて死ぬことも多いので、ゼリーカッターで半分にしてあげれれば最高ですね
【虫カゴ・ケース】
なんでもいいです
ただ、小バエが涌かないようにあまり隙間が空いてないようなものがオススメです
画像はプロ使用の『小バエシャッター』という飼育ケース
通称『コバシャ』
【昆虫マット】
なんでもいいです
100円ショップのものでもオッケー
ミヤマクワガタならクワガタ用ではなくカブトムシ用の昆虫マットがオススメ
【産卵木】
シイタケのホダ木などを再利用したものや、白色腐朽が回っている木が最良
広葉樹であれば、基本なんでもオッケー
市販されているものは、一度電子レンジでチン☆してから冷まして使用するのがオススメ
ワンパクのマイナー昆虫採集
根室市に生息するアイヌキンオサムシは世界一綺麗だとワンパクは思います
オサムシは飛ぶことができないため、地域変異が多い昆虫です
地域によって模様や色、大きさなどが違うので、他の地域で採集された個体と比べてみるのも面白いと思いますよ