ミヤマクワガタ【昆虫採集】
7月の十勝地方へ
今年2019年の北海道は、5月の天気がよかったものの、6、7月と気温が上がらない日が続いています
道東で一番の夏の暑さを誇る十勝地方でも気温が上がっていないので、ワンパクは例年よりも一ヶ月遅くに十勝地方へクワガタ採集へ出掛けることとしました
いつもなら、7月のこの時期ならばミヤマクワガタ♂は終わり、ミヤマ♀やドルクス属が採集出来る時期です
もともと、十勝地方はドルクス属よりもミヤマの生息が濃い地域です
発生から時間の経っていないミヤマの個体は、金色の毛を纏っているため、とても美しいです
ミヤマクワガタの『ミヤマ』は『深山』と書き、冷涼な山地などにいることから名付けられましたが、北海道ではザ・普通種!
どこにでもいます!
どのクワガタでも一緒ですが、幼虫の第二令~三令の環境で大きさなどが決まり、ミヤマクワガタはこの間に冷涼な環境であれば大型個体となりやすく、北海道で最大となる種です
またこの環境下では『エゾ型』が多く発生します
ワンパクのミヤマクワガタのWD(野生種)採集の最高記録は♂75.3㎜♀55.0㎜です
ブリードの最高記録はF1(ブリード1世代)♂75.0㎜♀55.0㎜です
あまり自慢できるほどではないですね
ミヤマクワガタ採集方法
ミヤマクワガタは『木登りミヤマ』と呼ばれるほど、木の上で生活していることが多いので、ルッキング採集か灯火採集が有効的ですが、今回は陽が落ちてから灯火採集をすることとします
いつも十勝地方にクワガタ採集に来るときには、必ず寄っていく街灯があります
ワンパクが十勝地方の指標としている街灯で、クワガタの動向を知るのに重要な一本の街灯です
さっそくミヤマクワガタの♀がいました
『クワガタのメスの区別が付かない』という方もいらっしゃると思います
判別の仕方は、足の付け根に黄色い楕円形のマークがあります
それがミヤマクワガタです
あと、ひっくり返しても、擬死行動である【足をひっこめて縮こまる】ことはしません
アゴの力が尋常ではないので、手の肉を噛ませると、貫通するのがミヤマクワガタのメスです
まだまだそこら中にたくさんいます
おっ!ミヤマクワガタの♂です
65㎜くらいでしょうか
エゾ型です
エゾ型は第一内歯が痕跡程度しか残っておらず、第三内歯が長く、先端の二叉が大きいのが特徴
フジ型(サト型)第一内歯が長く、先端の二叉が小さいのが特徴
基本型(ヤマ型)第一内歯と第三内歯が同じくらいの長さで、先端の二叉が大きいのが特徴
とくにエゾ型やフジ型と言っても、地域性があるわけではなく、あくまでも気温などの環境下による変異と考えられています
ここの街灯にはミヤマクワガタしかいなかったので、多分他の場所に行っても同じ結果だと思いますが、違う場所に行ってもみることにしました
浦幌町の山奥の町道で、70㎜のエゾ型ミヤマクワガタ♂がいました
70㎜を超えるとやっぱり迫力が違ってきますねぇ~
『んっ!?獣の臭いがする!』
『ヤバイ!!すげぇ近い!』
ワンパクピンチ!!
あぁっ!!やっぱり!!ヒグマのフンです
今したばかりのもの!牛の鳴き声のような威嚇の声はしないけど、まだ近くにいて身を潜めてこちらを覗っている視線は感じます!
『うぉっ!まじ、やべぇな…』
クワガタに夢中になりすぎてヒグマの臭いにも気付かなかったことを激しく後悔します
2年前にも黒松内町でヒメオオクワガタの採集中に同じような失敗をしていたので、後悔もひとしお
スマホでシャッターを切る音が、刺激にならないよう祈ります
同時に五感をフルに使い相手を探ります
音はしない…
街灯が照らしている路面以外は見えない…
臭いの方向から、身を潜めているであろう大体の場所はわかりました
4メートルほど右斜め前の藪の中
これでは下手に動けません
さっきまで車の中で聞いていた高橋優の『あしたはきっといい日になるぅ♪いい日になるでしょ~う♪』のメロディーが頭の中から離れません
こんな状況ですが、ワンパクにも明日は来ますか?
こんなことを考えられるって、極限の状態って結構リラックスしているものなんですね
ワンパクの装備を頭の中で確認します
ユニクロのステテコ
裸足にクロックス
オリオンビールのTシャツ
スマホ 以上
もう完全に絶望的なコンビニスタイル
車に逃げ込む隙に襲われるのを覚悟します
襲われたときに最小限の被害で済むよう頭の中でシミュレーションします
『ふーっ』と静かに深呼吸した瞬間、
『ガササッ!!』
草の音がします!!
『来るっ!!』
草をかき分ける音と一緒に気配が去っていきました
『助かった!』
ワンパクの吐く息が最強クラスで臭かったのか、ヒグマは立ち去ってくれました
『ラッキー♪』
フンの内容物からするに、街灯に集まってきた昆虫を食べに来たんですねぇ
とりあえず、今回のクワガタ採集は何も採集せずに帰ることとします
最近、ワンパクは1年で寿命が尽きるクワガタはさびしい気持ちになるので、採集せずにドルクスだけ採集しています
ミヤマクワガタの飼育方法
クワガタを産卵させる場合は、通常、飼育ケースにマットと産卵木を入れますが、ミヤマクワガタの場合は、産卵木は必要ありません
また、マットもカブトムシ用のマット(腐葉土)でオッケーです
力が強いクワガタなので、キレイにセッティングしてもすぐにグチャグチャにされます
転倒防止のために木の枝や葉を少し入れておく程度でオッケーです
無理にペアリングしようとせずに、採集してきたメスを単頭飼育するのが産卵には一番良い方法です
飼育ケースに入れてからしばらくは落ち着かずにいると思いますが、そのうちマットに潜って産卵行動に移ります
飼育ケースの底から見て、タマゴがいくつか確認できたら、その飼育ケースから別の飼育ケースにメスクワガタを移しましょう
自身で産んだ卵をグチャグチャにしてしまうのを防ぐためです
タマゴのある飼育ケースは、乾燥しないように霧吹きなどで加湿しましょう
数週間後、マットをほじくり返すと、幼虫が出てきますので、1匹ずつマットを入れたプリンカップに移し換えます
プリンカップでなくても、ミヤマクワガタの場合は、口径がなるべく大きい容器を選びましょう(深さはそれほど必要ありません)
あとは静かに来年の夏になるのを待つだけでオッケー!
ブリードでギネス級の大きさを作出したい場合以外はこの程度で大丈夫ですよー
ミヤマクワガタのブリードは簡単ですので、ぜひ挑戦してみてくださいね!