極東の車窓から
JR花咲線
よく『手付かずの自然』という言葉を耳にしますよね
テレビなどでそう表現されて、里山や山間部が映し出されることが多々ありますが、この地に来たならばその言葉がウソであることがわかります
本当の意味での『手付かずの自然』とはこういうものだと教えられるんです
たとえば、そこに一人放り出されたならば生きていけない、人間の力がまったく及ばない、そんなところだっていうことを…
【国木田独歩】もかつて作品のなかで『里山のほとんどが人工物であり、自然ではない』的な内容を記していたような
『武蔵野』だっけ?
『田舎』と『自然』は違います
前人未踏の場所、手付かずの自然を求めている野生児ワンパクにとってはここは魅惑のフィールドです
ここに山岳はなく、湿原が大地を覆う
原始の森が広がり、まるで人間の侵入を防ぐかのようです
道東はとても広いっス!
北海道のおよそ半分が道東で、あとの半分を道北・道央・道南に分けることができます
明確な基準というものはないかもだけど、十勝地方、釧路地方、根室地方、網走・北見・紋別地方が道東となります
JR根室本線は支線部を含まないJR北海道最長路線であり、滝川駅と根室駅を結ぶ距離は480㎞あまり
そのJR根室本線である釧路駅と根室駅を結ぶ極東路線がJR花咲線となる
釧路市~釧路町~厚岸町~浜中町~根室市の2市3町にまたがる120㎞あまりの路線
ワンマンの一両編成の機車に乗り、車輌が動き出すとディーゼルエンジン特有の匂いが車内にかすかに入ってくる
機車はいつも汽笛をならして走行している
それは線路に飛びだしてくるエゾシカやキタキツネ、オオワシやオジロワシ、タンチョウなどを追い払うため
もうこの時点で、ここらの住人は人間ではなく野生動物であることがわかる
今回は、普段ワンパクがあまり乗ることが無いJRの車窓からアウトドアフィールドにアプローチしていきたい
…と思っていたが、原生林が鬱蒼と生い茂る地域であるため、暗くて何が写ってる画像かわからないので過去に撮りためたものも使用していきます
釧路町
釧路市に隣接する市街地には大型商業施設が建ち並ぶが、そこから少し離れると広大な釧路湿原を擁する他、海岸沿いから内陸にかけては別保原野を擁し原生林が広がる
釧路湿原には、塘路湖、シラルトロ湖など釧路川につながる湿原性の湖があり、カヌーキャンプに適したキャンプ場もあるが、ワンパクがオススメしたいのが来止臥(キトウシ)野営場です!
ブッシュクラフトの練習にはもってこいの環境ではないでしょうか?
ただし、道道142号線沿いは小さな集落が点在しており、それぞれ漁業を生業としていることもあり、海から食材を調達する場合は、漁業権などに注意が必要となります
難読地名20余りが海岸沿いにあるが、それぞれに集落が存在します
ロケーション抜群のキトウシ野営場
また、ブッシュクラフト中級者は国道44号線よりも北に敷線されているJR花咲線沿いの別保原野の奥深くを探索しても面白いと思います
そのまま東に向かい、厚岸町の上尾幌方面に抜けるか、同じくルークシュポール(アイヌ語)へ向かうのも面白いはず
もちろん民家やキャンプ場などはないっす
ルークシュポールを抜け、尾幌川に出たあたり
おそらくは、このあたりがアイヌ語源となった『川ー通るところー岩窟』かな?
岩山が湿原を囲うように鎮座している
釧路町アウトドア情報:
【キャンプ場】
・達古武(タッコブ)オートキャンプ場
・来止臥(キトウシ)野営場
厚岸町
言わずと知れた牡蠣(カキ)の町
しかし、アウトドアフィールドとしてのこの町は海だけではありません
厚岸湖を囲むように町の東には広大な別寒辺牛(べカンベウシ)湿原を擁し、西にはルークシュポール(アイヌ語源)やオタクパウシ(アイヌ語源)の森を擁する
ここの原生林はブッシュクラフトやサバイバル技術を磨くうえで申し分ないフィールド
もちろん別寒辺牛湿原にもルークシュポールにもキャンプ場はないので、場所によっては特別な許可が必要になるが是非とも原生林でのアウトドアを楽しんでもらいたいです
そこまでがっつりアウトドアをしない方でもオススメしたいのが、やはり牡蠣
英語のスペルに『R』がつく月しか牡蠣は食べることができないと一般的に言われているけど、厚岸町の牡蠣は一年中食べることができる
観光グルメスポットとしても定着した【エーウロコ(厚岸漁業協同組合直売店)】
牡蠣には【カキエモン】【マルエモン】など複数のブランドがありサイズにもよるが、一つ110円~160円くらいで買うことができる
施設内にはイートインコーナーがあり、買った牡蠣をその場で楽しむことができる
【道の駅 コンキリエ】
厚岸町の観光グルメスポットの大定番
道の駅グルメ部門1位を独走し続ける
【厚岸蒸留所】
平成27年に建設を開始したばかりの蒸留所
外観はスコットランドのアイラ島にある蒸留所を意識したものだろう
かっこいい!
ピートや潮風、気候などを鑑みると【アイラモルト】に近い風味が出るはず
名産である牡蠣にぴったりの相性だ
厚岸町アウトドア情報:
【キャンプ場】
・厚岸・筑紫恋キャンプ場
【アウトドア情報提供施設】
・水鳥観察館(国道44号線沿い)
浜中町
酪農王国である浜中町は、北部と中部は酪農地帯が広がり、海岸沿いは霧多布(キリタップ)湿原、姉別原野が広がる
有名アイスメーカーであるハーゲン〇ッツの原料になる牛乳を生産していることでも有名で、【ルパン三世】の原作者である【モンキーパンチ】の出身地でもある
日本にある湿原で、【霧多布湿原(道東)】は、釧路湿原(道東)、別寒辺牛川流域湿原(道東)、根釧原野湿原群(道東)、サロベツ原野(道北)に次ぐ5番目の広さを誇る
これからもわかるとおり、道東はもうズブズブのビチャビチャです!
濡れまくってます
とてもWet!!
とりあえず青森県白神山地にあったギンギンのキノコをビチャビチャ漫湖とセットでアップしておきます
あ、下ネタじゃないっすよ
えっと、話を元に戻します
アウトドアフィールドとしてはこの霧多布湿原と、無人島である嶮暮帰島(ケンボッキトウ)が魅力的
どちらもアウトドアツアーで回ることができるので、初心者でも充分楽しめる
徒歩での湿原横断のようなサバイバルをする場合【谷地眼(やちまなこ)】という言葉を知っておかなくてはならない
谷地眼はいわば『落とし穴』
カブスゲやツルスゲなどの植物が水面を覆うため、湿原を真上から見たときに『眼』のように所々にきらめく水面が現れる
その『眼』の下は壺型に広がり、地下水脈と繋がっているため、一度落ちてしまうと水から出ることが非常に困難であり、最悪の場合死に至る
ワンパクは目の前で、エゾシカが谷地眼に落ちたところを見たことがあるが、やはり助かることはなかった
ワンパクも2度、谷地眼に落ちたことがあるが、そのとき掃いていた胴付きを犠牲にして助かった覚えがある
欧米の子供たちの間では、度胸試しに湿原(ボグ)を歩いて渡るという風習がある
もちろん親や学校には禁止されているほど危険な行為だ
湿原のトレッキングは、特殊な技能が必要であることを忘れてはいけない
浜中町アウトドア情報:
【キャンプ場】
・きりたっぷ岬キャンプ場
・MO-TTOかぜて
【アウトドア情報提供施設】
根室市
オホーツク海と太平洋を分かつ半島です
2オーシャンの大地なんて世界的にも限られているんではないでしょうか
ロシアが実効支配する北方領土までわずか4㎞しかないのに、隣の市までは120㎞以上ある
『クワガタ不毛の地』でも触れましたが、特異な自然環境の地
この画像でもわかるとおり、木がまったくありません
木を切ったわけではなく、天然でこうなっています
ワンパクにはニュージーランド人の友人がいますが、この景色を見て『ニュージーランドと同じだ!』と言って故郷を懐かしんでいました
根室市の西には落石(オチイシ)や別当賀(ベットガ)、初田牛(ハッタウシ)の森が広がります
【安田大サーカス】の団長が無人駅を旅する番組で、番組史上初誰も駅に下車しないという結果になってしまったのが、初田牛駅
一方で、東と北には大規模な森林はないものの、湿原や汽水湖などが広範囲で点在します
草原に見えますが、全部湿地帯です
草の塊のようなものが【ヤチボウズ(谷地坊主)】の夏バージョンですね
他の地域に比べてヒグマの生息数は少ないと思われますが、充分に注意が必要です
上級者には、風蓮川沿いに広がる大湿原から海へ抜けるトレッキングやカヌーもオススメ
根室市アウトドア情報:
【キャンプ場】
・明郷伊藤☆牧場筑拓キャンプ場
【アウトドア情報提供施設】
・ネイチャーセンター(国道44号線沿い)