タガメのその後3【昆虫飼育】
謎の物体
【謎①】
タガメの水槽を掃除していると…
なんだこれぇ?
画面中央下に房になったタマゴのようなものが沈んでいます…
取り上げてみました
タコのタマゴに似ています
この水槽にはタガメ、エサ用の小赤(金魚)、お掃除係のタニシしかいません
金魚かタニシのタマゴの形状でもありません
一体なんなんでしょう?
同居人
【謎②】
タガメが食べた後の金魚の死骸を拾うと、死骸になにやら動く2センチくらいのものが付いているYO!!
『寄生虫かな?!』と、ワクワクしてよく見てみると、ヤゴ!!
え~、なんで?!
【クロイトトンボ】のヤゴ!!
はて?トンボが産卵のために水槽に入り込むスペースなどありません
なんだか不思議なことが続きます
タガメの水槽に戻して様子を見ます
あまりにも小さいため、同居させてもタガメのエサにはならないでしょう
冬仕度(水中越冬)
タガメの寿命は2年ほどで、野生下であれば冬場は土の中などで越冬します
飼育下であれば普通、水槽から出して水苔などでタガメを別容器で越冬させるのが一般的ですが、ワンパクは【水中越冬】をさせたかったのです
ワンパクは半翅目の専門ではありますが、タガメを飼育するのは初めてなので色々挑戦してみます
【水中越冬】とは、特別なことはせず、ただそのまま水中で飼い続けるだけ
なぜ水中越冬にしたかというと、北海道の冬は外気温が低すぎるため、水中の方が温度が高く、タガメ自身の負担が軽いと考えたためです
北海道にタガメが生息していない(放流個体は除く)のも、この厳しい冬を乗り越えられないからだと想像できます
ちなみに【冬眠】というのは、生き物にとって、ある意味一種の賭けです
一切食事をせず、自らを仮死状態にし、本当に覚めるかわからない眠りにつくのですから…
昆虫に限らず、自然界ではさまざまな動物が冬眠し、そして失敗して死んでいきます
それでも冬の厳しさやエサとなる動植物がない環境を過ごすよりも、『冬眠』という賭けに出た方が生き残る確率が高いという本能的な行動なのでしょう
通常の越冬をさせようと別容器に移したタガメのオスは、寿命を迎えたためか、はたまたこの寒さを乗り切れなかったためかお亡くなりになりました
合掌…
産卵
【謎③】
タガメのメスがエメラルドグリーンのタマゴを設置していた木に産卵しました
しかし、なぜ水中に…
通常、メスは水面から10㎝ほど上にタマゴを産み付け、次のオスとの交尾のためにタマゴ達を見捨ててどこかに行ってしまい、オスがタマゴが乾かないように水で濡らしたりして世話をします
また、他のメスが来てタマゴを壊しに来るのをオスは飲まず食わずで守ります
オスがいないため、水中に産み付けることで乾燥を防ごうとしたのでしょうか?
名探偵ワンパクの推理
さぁここで、謎を整理してみましょう
卵塊らしき謎の物体【謎①】
クロイトトンボのヤゴ【謎②】
水中への産卵【謎③】
オスが死んでからしばらくの期間が空いてからの産卵【謎④】
この名探偵ワンパクが、点と点を結び、謎を解いていこうではありませんか!
同居人との危険な情事
おそらくタガメの奥さんは旦那さんに対して不満があったのでしょう
何不自由ない生活、温かく明るい家庭…
しかしそれは奥さんにとって退屈でしかありませんでした
もっと日常に刺激を求めていました
一方、旦那さんは非常に臆病な性格で、いままで女性とお付き合いもしたことがありませんでしたが、ワンパクという昆虫好きの仲介により今の奥さんと出会うことになります
最初は新しい環境に大変怯えていましたが、真逆の性格である積極的な奥さんに促されるように、旦那さんは彼女に対して少しずつ心を開いていきました
しかし、そんななか旦那さんは前夫が奥さんに食べられたことを風の噂で知ることになります
タガメのその後2【昆虫飼育】 - East End Wilder
ただでさえ臆病な性格なので、もう旦那さんは奥さんに対して恐怖しかありません
食べ物も喉を通りません
少しずつ心を許してきたことに対しての裏切りだと思うようになり、旦那さんは奥さんから距離をとるようになります
奥さんからしてみたら、最近は余計につまらない男だなと飽き飽きしています
そんなとき!
まだ幼さの残る顔立ちだが妙に大人びた雰囲気のある青年が「ふっ」と彼女の前に現れました
奇妙な同居が始まりました
『いったい彼はどこから来たのか?』
『彼はいったい誰なのか?』
そんな彼のミステリアスな部分に彼女は徐々に心惹かれていきます
彼は一切素性を明かすことはありませんでしたが、それでもまだ幼さの残る彼の笑顔を見ると、彼女は彼を信じこんでしまいます
どんどん彼に惹かれていき、ついには…
アアッ❤
二人は越えてはいけない一線を越えてしまいました
同居人との昼下がり
許されることのない愛ですが、二人は求め合います
その頃、旦那さんは仲介人であるワンパクに水中越冬ではなく通常の越冬の申し込みをし、すでに別容器に引っ越していました
よほど奥さんが怖かったのでしょう
間もなくしてタガメの奥さんは、ヤゴの青年の子供を身籠もります
込み上げるうれしさを抑えながら、彼のもとに向かいますが、どこにも彼はいません
次の日も、また次の日も探しましたが姿が見えません
もう数週間が経ちました
お腹の子供は日増しに大きくなっていきます
彼女は知りませんでしたが、このときすでに旦那さんは別容器でひとり寂しく死んでいました
タガメの奥さんは、
・・・・・てか、かなり話がぶっ飛びましたね
えっと、一体なんの話かな?
名探偵?
全然意味がわからないッス!!
産卵不全
えーっと、真面目に結論を出しますね(笑)
【謎①】は間違いなくメスが生んだタマゴの残骸で、【謎④】のことから、無精卵であるということ
しばらくこのタマゴの様子を見ましたが、孵化する様子もなく、カビが生えました
生きているタマゴであればカビは生えません
枝に産み付けたタマゴが破壊され、水槽の底に沈んで、これにもカビが生えていました
ここからは少し【閲覧注意】です
このカビの生えたタマゴを解剖してみます
タマゴの中からは水色のドロドロしたものが出てくるだけで、タガメの幼生が形作られたものは出てきませんでした
しかし、タマゴの外殻にはタガメ特有の筋が確認できました
タガメのタマゴに間違いありません
そして【謎③】については、このメスの個体が上手に産卵できない個体である可能性が高いということ
【謎②】については、水草か何かにトンボのタマゴが紛れて入った可能性が考えられますが、推測でしかありません
そして、ヤゴはおそらく濾過装置に吸い込まれたのでしょう
まったく見当たりません
タガメの孵化不全はかなり情報があるのですが、産卵不全はまったく情報がないので、レアケースとしてこれからも見守っていきます