日本一到達困難な温泉 金花湯【秘湯】
道東から400km以上離れた道央•道南地方へサバイバル遠征する際には、札幌市に妻の実家があるためそこに数日滞在して、準備•補給をしながら現地の天候などの様子を窺い、山行のタイミングを図ることが多い
今回の遠征も同様でしたが、滞在中のある日にボクが妻の実家のトイレに入ると、この世のものとは思えない臭いが襲った
ボクはトイレの中から『くっせー!!邪悪な臭いがするぜ!』『ここは魔界への入り口か!?』『小さい虫なら殺せる臭いがするぅ』などと大きな声で叫ぶ
当然、ボクがトイレを使用する前に、妻が使っていたと思っているわけなので、ふざけてそのような発言をしているのだが、どうやら犯人は義母らしい
リビングにいる義母にもボクの言霊が伝わってしまったため、妻は急いで魔界への入り口に殴り込んできたが、魔界のその臭気は妻をも蝕み、笑うことしかできない
『笑ってはいけない』状況も相まって、笑いをこらえればこらえるほど、全身の筋肉が痙攣を起こし、夫婦でトイレで爆笑
笑う度にボクのウ○チもピコピコとお尻を出たり入ったり
どうも、今回の件でさらに妻の実家での居場所がなくなってしまったサバイバル愛好家のワンパクですぅ
遠征中ずっと天気に恵まれなかったのは、義母の呪いでしょうか
ちなみにこの記事の山行は、緊急事態宣言発出前です
まだまだ仕事地獄から抜け出せなくて、記事の更新もYouTubeのアップも遅れてるけど…それじゃあ、早速いってみよー☆
金花湯(きんかとう)
北海道島牧郡島牧村の泊川支流小金井沢川沿いにある秘湯中の秘湯(野湯)で、昭和30年代に鉱山調査のボーリング中に偶然湧き出た温泉
温泉法に基づく温泉ではなく、正式な名称も決まっていないため「小金井沢温泉」「小金の湯」「金華湯」「黄金湯」「黄金温泉」などとも呼ばれる
一番大きい源泉は小金井沢川横の高台から湧き出し、黄褐色の石灰華ドームを形成していて、この源泉のやや下には先人が掘った湯船がありそこを利用する
周辺にもいくつかの少量湧出の源泉があり「大判小判の湯」「鳳凰の湯」などと名付けられているものもあり、川が増水すると川底に沈んでしまう湯船もあるのだとか
泉質は含石膏土類硫化水素泉(中性低張性高温泉)ph6.5
泉色は無色透明であるが、大量の湯の花によって白濁していて硫黄臭がする
金花湯へのアクセス
『島牧村って北海道のどのへん?』と道外の方から言われそうですが、ワンパクの住む道東から約580km離れた後志(しりべし)地方の人口約1,400人余りの自治体
今回はここでサバイバルしちゃおぅってワケ☆
島牧村には、ワンパクが札幌在住の頃はよくホッケを釣りに来てたけど、金花湯はいつか行きたいと思っていながらすっかり忘れていた場所
ワンパクにしてはめずらしく事前に色々と調べたので、この温泉のヤバさを少々ご紹介
『日本一到達困難な温泉』と言われる所以はそのアクセス
まぁ、アクセスってか道が無いんだけどね(笑)
金花湯へは、北海道道836号島牧美利河線の終点から入るルートが最短で、昭和の頃までは金花湯のすぐ横まで通行可能だったようですが、現在は大規模な土砂崩れなどにより断絶、廃道(泊川林道)となっているため、直線距離は短いが泊川の沢登りを余儀なくされる難ルート
ひゃぁ〜、しびれるぅ!!
もうひとつの金花湯への残されたルートは、村有林道千早川宮内線の峠付近までは車両通行可能だが、そこから先徒歩で約23km
ゲートから約9km付近までは定期的に林道整備されているらしいけど、その先は整備されておらず、道路崩壊、自然が人工物をすでに呑み込んでしまっているため藪漕ぎ必至の全行程往復46kmの日帰り不可能なルート
携帯電話も当然圏外
ひゃっほぅ〜☆
このルートは、昔は車の通っていたことのある道らしいので、登山道とは違って比較的ゆるやかとのことだけど、このあたりは当然羆(ヒグマ)の高密度生息地帯
また、水や食糧を確保するうえでエキノコックス症感染の危険性を踏まえながらの山行となることは、北海道民なら当然に予想できるよねぇ
そしてなにより、金花湯の正確な位置がよくわからない
ヒグマの巣窟である山道を藪漕ぎしながら往復46kmも歩いて『温泉見つけれなかったYO☆』だなんて、マジで勘弁!
インターネット上の情報を頼りにこのハイリスクな山行をする人ははたしてどれだけいるのでしょうか?
ワンパクが調べたこれらの情報を鵜呑みにはできませんが、金花湯へ到達することはあらゆるリスクを背負うため、体力・技術・装備・覚悟が必須であり、あらゆる面で自らの行動に全責任を持つことが出来る人に限られるため、誰もが到達可能な場所ではないってことは確かなようです
ゾクゾクするぅ☆
↓↓ワンパクのハイリスクな山行はこちら↓↓
沢登りルート(泊川ルート)
沢登りが必要な泊川ルートを選択する可能性もあるので、ハーネスやピトン、ビレイデバイスなどの装備は一応持ってきています
話は逸れますが、あまり聞き馴染みのない『沢登り』という言葉を聞いてみなさんはどんなイメージがありますか?
『水でパシャパシャ☆』『涼しげで楽しそ〜!』『川を遡行するだけでしょ?』なんてイメージの方もいらっしゃるかもしれませんね
答えは…
NOぉぉぉっ!!
『沢登り』は通常の登山とは違い、最初から安全なルートから外れた渓谷世界に挑戦する登山術
通常のハイキング保険では沢登りは保険対象外で、危険度が高く専門的な冬期登山、ロッククライミング、沢登りといったものはワンランク上の山岳保険でないと保険対象にならないことからも、いかに沢登りが危険かがわかると思います
日本では、登山道などがない古来から、山を越えるために沢筋が使われてきた伝統があり、滝や岩壁などを直登・高巻きで突破するなどの幅広いスキルが必要な登攀スタイル
シャワークライミングやキャニオニングの人気により最近はウエアやギアが進化していますが、そんなプリミティブな登山方法であるからこそ、あえてワンパクは既成の道具はなるべく使わずに踏破したいという思いがあります
ワンパクのアウトドアスタイル的にも現地調達にこだわりたいんです
しかし、この長雨により川はかなり増水しているでしょうし、バディもいない状況ではやはり沢登りは現実的ではなく、本命は片道23kmルート(神威山ルート)になるのかなぁと思いながらも、この泊川ルートのゴルジュや淵や釜など、どんな渓相なのか見ておきたいので行ってみることにしました
それでもし金花湯まで単独で行けそうなら行っちゃいましょう☆
地形図を見れば大体の渓相なのかわかるのかもしれませんが、ワンパクは国土地理院二万五千分の一の地形図とコンパスで読図をしながらルートファインディングをしない(これもこだわり)ので、どの程度の装備が必要かも実際に行ってみないとわからないんです
遊べそうな渓谷だといいなぁ…
さて、北海道道836号島牧美利河線を行くと【宮内(ぐうない)温泉】があります
ここで妻と娘と義母を下ろし、温泉に浸かっている間にワンパクは下見に行きましょうかね
って、宮内温泉より先は通行止めじゃん!!
このだいぶ先にトンネルがあり、そこを抜けると【泊川河鹿の湯】という野湯がある場所が北海道道836号島牧美利河線の終点なんですけど…
…
ここから道の終点までを歩く距離を考えると、金花湯までの最短である沢登りルートのメリットがまったくないよね…
よし!このルートは諦めました!
妻達をピックアップして、もう一つのルートに向かおうぜ☆
全行程46kmルート(神威山ルート)
藪漕ぎしながらヒグマの高密度生息地帯を全行程46km歩く日帰り不可能ルート
このルートが一番現実的かなぁ…でも、すでに踏破されているルートってつまんないんだよなぁ
よし!ちょいと下調べしてから出発しましょうかね
広い北海道ですから、ワンパクの住む道東とは植生が違うんですよ〜
北海道と本州の間に【ブラキストン線】という動物相の分布境界線があるように、北海道内にも【河野線(石狩低地帯)】【黒松内低地帯(ブナ林北限)】という動植物分布境界線があるんです
妻と娘とウン◯が臭い義母を【千走川(ちはせがわ)温泉】に置いて、天気が回復するまでは周辺に食糧調達の下調べにでもいきますか
【イタドリ】の枯れ草です
大きいうえ軽く、加工しやすいので、木の枝の代わりにデブリハットシェルターの骨組みにも使えますね
竹は北海道には自生していないので、テントすら持ちこまないワンパクにとっては結構重要な素材
【イタドリの若芽】そんなに好きではない
【ギシギシ】ゲボるので食べすぎ注意
【ヨモギ】大好き
【クサソテツ(コゴミ)】アク抜きがなくて楽だし、まぁ好きかな
【カタクリ】腹の足しにならない
ん?葉に黒斑がないですね
地域によってはそういったものもあると聞いていましたが、実際に見るのは初めてです
【エゾニワトコ】下剤の代わりになる
まぁ、ワンパクはこれだけあれば大丈夫ですが、今回同行予定の彼女のエサが必要です
元野犬のシャロンならミミズや虫やネズミなど自分でエサを探すことも容易です(散歩中によく食べてる)が、やはりこれだけのハードな山行なのでせめてお魚を食べさせてあげたい
あ!千走川って保護水面だったの?!
通年で釣りなどが禁止されている河川です
まじかぁ…
実は千走川を登って食糧確保しながら、賀老渓谷あたりで神威山ルートに合流する新規ルートの開拓を考えていましたが、それも無理なようです
シャロンの同行は諦めましょう
『新鮮なイワナが食べれないなら、ワタシ行かないわよ』とプィッとしています
しかもこの荒天による水量では単独での沢登りも諦めざるを得ませんね
ワンパク無念の撤退
カミナリとともに雨がさらに激しくなってきました
かなり危険な状態です
天気の回復を待ってすでに五日間経ちましたが、もうこれ以上ワンパクに残された時間はなく、義母の呪いのせいで今回の山行は断念するしかなさそうです
会社の上司に『秘湯のお湯が涸れるまで全部飲んできてやる!』と息巻いて出発してきたのにこんなんじゃ帰りづらいけど、サバイバルにとって一番大切なことは正確な状況判断
まぁ、悔しいけどまた来てやるさ☆
実はワンパクはこの地域のヒグマと何度か遭遇していて、その全てが大型個体で、大袈裟ではなく450kg以上であろう個体にも至近距離で『コンニチハ』したことがあるんです
そのときはトラウマ級の衝撃だったので、寝るたびにそのヒグマが夢に出てきてはどんな方法で戦っても勝てなくて、しまいにはヒグマに殺されるという悪夢を一週間見続けていました
でも、その神々しいばかりの個体にまた会いたい気持ちが大きくなったので、出会える可能性は低いものの、今回のこの地でサバイバルしようと考えてたんです
これが今回の山行の隠れた目的でした
次こそは金花湯に挑んじゃうYO☆